課税取引に係る売上値引き等(売上返品、売上割戻し、売上割引等)については、売上に係る対価の返還等に該当し、課税標準額に対する消費税額から控除(金額の明細を記録した帳簿の保存が必要である)(法38①②)。
継続適用を条件として、課税売上から直接控除することも認めるとしている(基通10-1-15)。
国外取引、非課税取引、輸出取引の売上値引き等を消費税から控除することはできない。
船舶の早出料、販売奨励金、事業分量配当金は、売上に係る対価の返還等に該当する。
売上割戻しを相手方に支払うことに代えて売掛債権と相殺した場合も課税標準額に対する消費税額から控除できる。
売上割戻しには、直接の取引先に支払うもののほか、その間接の取引先に支払ういわゆる飛越しリベート等も含まれる。
売上割戻金の支払に代えて、取引先を観劇、旅行等に招待した場合は、売上に係る対価の返還ではなく、観劇、旅行等に招待した費用が課税仕入れになる。
土地付き建物を販売し、支払期日よりも前に支払を受けたので、値引きをした場合、値引額を建物代金の値引きとして処理することはできない(建物相当分しか売上に係る対価の返還等とすることができない)。
売上金額から返品額や値引額を控除した額を課税売上の対価の額としているにもかかわらず、返品、値引きに含まれている消費税を課税売上に係る消費税額から控除することは誤りである。
売上値引き等をした課税期間の消費税額から控除する。
免税事業者であった課税期間における商品の売上について、課税事業者になった後で返品を受けた場合、課税売上に係る消費税額から控除することはできない。
(消費税法38条)
事業者(第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行った課税資産の譲渡等(第7条第1項第8条第1項その他法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)につき、返品を受け、又は、値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額(第28条第1項に規定する対価の額をいう。)と当該対価の額に100分の8を乗じて算出した金額との合計額(以下この項及び次条において「税込価額」という。)をした場合には、
当該売上に係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間において行った売上に係る対価対価の返還等の金額に係る消費税額(当該返還をした税込価額又は当該減額をした債権の額に108分の6.3を乗じて算出した金額をいう(次項において同じ。)の合計額を控除する。
2. 前項の規定は、事業者が当該売上に係る対価の返還等をした金額の明細を記録した帳簿を保存しない場合には、当該保存のない売上に係る対価の返還等に係る消費税額については、適用しない。
但し、災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを当該事業者において証明した場合は、この限りではない。
(消費税基本通達10-1-15)
事業者が、その課税期間において行った課税資産の譲渡等につき、当該課税期間中に返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをした場合に、当該課税資産の譲渡等の金額から返品額、又は、値引き額若しくは割戻し額を控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。
(注)この場合の返品額又は値引額若しくは割戻額については、第38条第1項(売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税の控除)の規定の適用はないのであるが、同条第22項に規定する帳簿を保存する必要があることに留意する。
(消費税基本通達14-1-1)
海上運送事業を営む事業者が船舶による運送に関連して支払う早出料は、売上げに係る返還等に該当する。
(消費税基本通達14-1-2)
事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほか、その販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。
(消費税基本通達14-1-3)
法法第60条の2第1項第1号(協同組合等の事業分量配当等の損金算入)に掲げる協同組合等が
(消費税基本通達14-1-4)
課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払を受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上に係る対価の返還等に該当する。
(消費税基本通達14-1-5)
事業者が、一の取引先に対して課税資産の譲渡等とその他の資産等を行った場合において、これらの資産の譲渡等の対価の額につき、一括して売上げに係る資産の割戻しを行ったときは、それぞれの資産の譲渡等に係る部分割戻金額を合理的に区分したところにより法第38条第1項(売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除の規定を適用することになるのであるから留意する。
(消費税基本通達14-1-6)
免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡について、課税事業者となった課税期間において売上げに係る対価の返還等の行った場合には、当該対価の返還等については、法第38条第1項(売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除)の規定の適用は、ないことに留意する。
なお、この場合の法第9条第2項第1号(小規模事業者に係る納税義務の免除)、令第48条第1項第2号(課税売上割合の計算方法)又は第53条第3項第2号(課税売上割合が著しく変動した場合等)の規定の適用に当たっては、これらの各号に規定する消費税の額に63分の80を乗じて算出した金額はないことに留意する。