被災地の自治体を復興特区に指定し、復興特区において被災者を雇用した法人には、人件費の10%を控除する旨の復興減税であるが、まず、被災地のみで事業を行っていた零細事業者は、事業を再開することすら無理であって、減税の対象となるのは、東京に本店があるブルジョア企業である。このブルジョア企業が、被災地の者を雇用して給料を支払うのは、それは労働に対する対価、役務提供に対する対価である。国家がこうしたブルジョア企業に税額控除という名の補助金を支払っても、この補助金を当該ブルジョア企業が被災地復興に使ったか否かは確認しない。そして、ブルジョア企業の内部留保は更に蓄積されるのである。補助金は被災者に直接渡さなければ意味がない。被災者の二重利得であると批判する論者もいるかもしれないが、企業から受ける給与は、役務の対価であり、国家から受ける給付は社会保障であって、全く別のものであるから、こうした批判は全く的外れである。