<p>金融機関等は、法人の税務署に提出したのと同一の決算書を見ても、疑いを抱かない場合があるが(代表者貸付けの現金への振替え、在庫を持たない業種の在庫計上等から銀行用決算書は見抜くことがある)、金融資本家所有の税務当局は、法人の決算書について正確なものとは思っていない。
正確な決算書は存在しないと思っていいる。仮受仮払に欠損法人の損益が算入されていたりすることもあるようである。
したがって、損益分岐点分析をはじめとする経営分析を顧客にサービスしてもあまり意味がないことが多い。
寧ろ、財務諸表上に表れた経済関係(定性要因については、税務調査官は、垂れ込みや資料調査課等からの連絡があるまでは、準備調査の段階では知らない。)から税務署がいかなる推論を行うか問題提起をする必要があるといえる。
財務諸表は当該法人の全ての事実関係が記載されているわけではないから、現象や法則が読み取れるだけで、法人の問題点の全てを摘出できるわけではなく、財務諸表の分析だけで法人にあらゆる価値属性を付与したり、財務諸表を土台に収益予想をすることは、分析結果と現実の実体が乖離したものとなり、問題の建て方も法人の経済の現実と乖離したものとなる。
財務諸表の分析は、問題提起、問題の探求、摘出の土台、手がかり、糸口、手段となるのである。</p>