<p>昭和の時代はどうであったか知らないが、資料調査課は、現況調査と異なって、事前通知なしでやってくることは、まず殆どない。過去の事業年度に係る帳簿書類となると、膨大な量となるから、調査官が行う課税所得の確認作業という生産行為や納税者が調査官の質問に対する回答を調べるという社会的行為の要請を満たすだけの時間や設備が社長室や経理課にはないから、質問検査を行う場所は、応接室や会議室等の空き室で行うことがほとんどである。全国各地に支店や取引先があるような社長は、本社に1日中滞在していることは、稀である。
強制調査でない以上、無断で金庫や机を開けるなどという問題は生じる余地は少ない。金庫や机を見たいとの申出でがあった場合には、社長が不在の旨を話し、それでも見たいというのであれば、「顧客の個人情報等が入っている可能性があるので、それが漏洩すると、守秘義務上問題となりえますー(これは理由を聞かれたらでよいと思われる)。調査に必要なものがあれば、探して持ってきますので、具体的に何が必要か、おっしゃってください」等を話して、できるだけ、こちらの答えは手短に、調査官に沢山しゃべらせるようにするようにすれば足りると思われる。そして、帳簿書類等に許可なく付箋を貼って、中には書き込み等をして、翌日付箋を貼ったところから作業を続ける者がいるが、帳簿書類の所有者は、法人であるから、そうした行為はやめてもらったほうがよいと思う。
銀行等から代表者個人口座に係る情報を入手したとか、取引先に特定時期に売上が増大したとの情報とかが多いが、退職した従業員が会社の倉庫から持ち出して、商品を売りさばいていたとか、消費していたとかいった垂れ込み情報のように調査官にとって、所得に与える影響という面からは些細なことでも訪れることもある。いずれにせよ、法人の決算書に表示されない簿外取引等の存在の有無に係ることが多い。また、当該法人が支払った報酬、外注費等、手数料に係る情報について確認することもある。また、資料調査課は各都道府県に支店等が所在するような法人の調査に応援として訪れることがある。</p>