<p>法人税、消費税、源泉所得税、印紙税等全ての税について確認を行うことを同時調査、一つの税目又は一つの科目だけに絞って調査を行うことを重点調査ということがある。税理士や納税者には、同時調査か重点調査かは告げられない。重点調査といっても、売上を重点的に確認して、所得に加算できる材料がなければ、交際費、それでも加算できないとなれば、源泉所得税とあらゆる税目について調べていく。したがって、同時調査、重点調査の区別など存在しないといってよい。税務調査に同時調査、重点調査などの属性は備わっていない。組織内の生産関係に従って実績を挙げなければないから、重点調査など方便である。
調査の連絡があるとやたら、交際費の認定について心配する税理士が多いが、全ての調査で最も重点的に、且つ、最初に調べられるのは、売上及びそれに係るもの(巨額の貸倒損失等)で、その他資産の取得と購入原資(これも売上除外の有無とも関連がある)であって、交際費や給与台帳を調べ始めたら、それは、金額の大きな所得の計上洩れを把握できなくなって、一円も税金を取れなかったことを想定することが、調査官の思考に焦りをもたらしているのである。過大給与として否認しなくとも給与所得として課税できるから、勤務実体がない場合は別だが、給与の金額云々は指摘してこない。学者先生は、給与所得として課税できるか否かは関係ないというかもしれないが、調査官の立場として、現実には関係がある。同族会社行為計算否認規定も唯心論規定であることを知っているからか、同規定を適用して否認を試みることはほとんどない。</p>