貸倒損失についての通達9-61には、「債務超過の状態が相当期間継続し、」とあるが、この場合の債務超過か否かを判定するに当たり、資産の評価を、簿価で評価するのか、時価で評価するのかが問題となる。時価は、ブルジョアが社会に認めさせることに成功した金額であるから、課税の問題になって、経済関係を離れて、時価とは別の評価額を持ち出すことは妥当ではない。債権者との経済関係から、債務者は自由意思で簿価で売却するか時価を選択することはできないのであって、時価で売却して換金するのである。時価に換算したところで債務超過に該当するか否かを検討し、含み益の資産を売却することによって、債務超過とならず、回収可能とみられる場合には、貸倒損失とすることはできないと判定されうるのである。 尚、負債金額の20%しか資産の計上がないと、最終配当を支払うことができないから、債務超過の例として貸倒損失とすることができるかのような風説があるが、法律上これを認める規定はない。