いわゆる査察とは、国税局の査察官が国税犯則取締法に基づき、裁判所による令状を所持して、強制調査に当たることである。

したがって、調査を拒否したり、引き延ばしたりすることもできず、税理士の立会いも認められていない。査察官には、逮捕権はないが、自由意思に関係なく金融資本との資本関係、生産関係から検察に告発せざるをえないとすることはありうる。

法人に立ち入り、強制捜査を行うばかりでなく、税理士事務所等当該法人とかかわりのある者についても、その事務所に立ち入って、電話受信簿、当該法人を担当している職員の業務日誌、パソコン内の当該問題となっている法人のデータ、当該法人より預かった資料、原本の写しをはじめ、あらゆる書類等をコピーして、持ち帰るということがある。

担当職員は、身分証明書の提示を求められたり、後日、当局に呼び出されることもある。強制調査であるから、任意調査(任意調査については、税務当局に写しを含む帳簿書類の領置専有権はない。)と異なり、コピーして局に持ち帰ることを拒むことができない。納税者や税理士事務所職員は、経済上の事実関係を離れた空想上の問題提起や論理展開がなかったかどうか、経済上の事実関係に即さずに、力づくで認めさせることがなかったかどうか、記録しておくことが必要となってくる。

記録した書面にある、土台となる経済関係の有無、全て現実どおりか、査察官がした経済関係の確定プロセスが不服申立て、裁判において、土台となる経済関係に遡る土台となる。事実関係を全体化する原因となる行政手続の問題は、行政上の形式の問題とは異なるのである(尤も、不服申立て等においては、日付等の形式の問題も重要となる)。