法人は、銀行から借り入れをするに当たり、銀行から「中小企業の会計指針の適用に係るチェックリスト」を提出すれば、有利な条件で貸し付けることを提案され、税理士事務所にその作成を依頼してくることがある。しかし、チェックリストの作成に当たっては、情報が与えられず、当該科目につき、事実関係を知りえない等により正確であるとはいいきれないものは正確であるとの記載をしてはならない。上記の事例に限ったことではないが、法律というものは一定の選択枠を与えて、現実には金融資本家からの何等かの強制があるのであるが、人民が自由に選択できるようかのような外形にしておき、選択をした者に責任を取らせる仕組みとなっている。金融機関を所有する金融資本家に逃げ口上を与えるのである。したがって、後に会計責任云々が問われうるのである。税理士事務所はブルジョアの太鼓持ちではないのである。また、税理士事務所から銀行に提出しておいてもらいたい旨の提案にも応じてはならない。税理士事務所の守秘義務の問題もあるし、そもそも、「中小企業の会計指針の適用に係るチェックリスト」には、銀行借入れの便宜を図るといった属性は備わっていない。銀行の要請に応じるかどうかは法人と銀行の問題である。