税務上、債務の免除による貸倒損失が認められる条件の一つとして、「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合」となっている。

「債務超過の状態が相当期間継続」するとは、どれ位の期間をいうのか明らかではない。

3年から5年を指すという見解や回収努力を行ったけれども、支払能力等からみて回収が不可能であるとした場合の回収努力期間は、通常1~2年間を指し、その結果回収不能と判定できれば貸倒損失の対象となるとする見解がある。

裁判例には、「一般に法人の会計処理上の貸倒損失を認める基準は公正妥当な会計処理の基準に従い、債権者が債権回収のため真摯な努力をしたにもかかわらず、客観的に見て回収の見込みのないことが確実となったことを要し、単なる債務者の所在不明、事業閉鎖、刑の執行等の外的事実のみでは、これを直ちに貸倒れと認めることはできない」とするものがある(東京地判昭和49年9月24日)。

貸倒れの計上に当たっては、相当期間とは別に、債権の発生時期、支払期日、債権回収過程において現実に要した労働、回収できないことが決定された経緯、債務者の資産、支払能力等全ての面から検討することが必要となる。