<p>法人が、税務調査の直前に、いわゆる利益の水増しを行っていたことを明らかにした場合、税務上はどのように取り扱われるか。税法は、倫理規範ではないから、今後はそうした行為をしないように指導はされるが、商法違反として罰する権限はない。収益の前倒し、棚卸資産架空計上等があれば、税務調査の場でそれ、粉飾をしている旨を主張する必要がある。商法に違反する実体のない収益等であっても、所得の減算事由である以上は、それを認めざるを得ない。調査の過程で、所得の加算項目を発見したとしても、減算項目の金額がそれを上回れば、所得を加算する旨の更正処分は行い得ないのである。調査において知り得たのであるから国税通則法23条2項により課税する側は減額更正をせざるを得ない。納税者側は翌事業年度の会計帳簿において利益計算から減額する処理をする必要がある。税務調査で行う仕事は、留保金額、流出金額の確認ではなく、所得金額の確認である。</p>