巷間、3年に一度、税務調査が訪れるという噂を信じている納税者も多い。日本の税務行政はドイツの影響を受け、ドイツにおける租税経営検査が、3事業年度を超えて行ってはならないというところからこの噂はきているのかは定かではないが、何の根拠もない話である。したがって、毎事業年度が終わる毎に税務調査を行うことも法律上妨げない。

しかし、これでは、一度見た箇所を何度も見るということもありうるし、作業効率も悪い。公務員の給与をカットして税金を安くして内部留保を蓄積するというブルジョア企業資本からの要求もある。一方、毎期所得があって納税している法人であっても何十年も調査が行われていない企業がある。これは、申告書類の記載や既往の調査実績からいくら問題提起をしても、現行の法律では質問検査を行って、所得金額を更正して課税しえないか、又は、財務諸比率や当該法人が、業界最大手の自身の内部蓄積の要求により、売上代金が絞られているという経済関係から粉飾決算を行っていることが明らかであるとの推論が働くからであって、勿論偶然ではない。大規模な資産の取得があったり、借入金が増大したり、調査を行えば、更正して課税を強いることができるのであれば、たとえ、申告是認通知発行法人や優良申告法人の認定を受けた法人であっても、調査が行われうる。いずれにせよ、3年に一度というのは法律上の根拠はないということである。