法人は、その事業年度の確定した決算に基づいて確定申告書を作成し、原則としてその事業年度終了の日の翌日から2か月以内に所轄税務署に提出しなければならないとされている(法74)。

法人が公認会計士等の会計監査人の監査を受けなければならないことその他これに類する理由により決算が確定しないことから、確定した決算に基づく確定申告書を提出期限までに提出できない常況にある場合には、法人の申請に基づいて税務署長は確定申告書の提出期限を原則として1か月間延長することができる(法75の2①)。

ここでいう「これに類する理由」とは、会計監査人の監査を必要としないが、定款において事業年度終了の日から3か月以内に株主総会を開催する旨を定めているため、事業年度の終了の日から2か月以内に決算が確定しない場合も含まれるとしている(基通17-1-4)。

したがって、申告期限の延長の特例は、大企業のみに対する特例ではなく、中小企業であっても、定款等により株主総会が事業年度終了の日の翌日から3か月以内に行われることとなっていれば、申請得することによって、延長が認められうるのである。

申請は適用を受けようとする事業年度終了の日までに、株主総会が事業年度終了の翌日から3か月以内に開催のため決算が確定しない旨の理由とそれを規定している定款の根拠条文の番号を申請書に記載し、定款の写しを添付して(原始定款が事業年度終了の日の翌日から2か月以内となっている場合には、定時株主総会の開催時期を事業年度終了の翌日から3か月以内に変更した旨の臨時株主総会議事録をも添付)、1部(税務署によっては、以前は2部提出を求められた)所轄税務署に提出する。併せて事業税の延長申請を行い、税務署より延長申請を認める旨の処分が行われたことに係る書面を税務署に延長申請をした日から20日後位の間(後述の自働承認と呼ばれているものとの関係)に所轄都道府県税事務所、市区町村へ税務署へ提出した税務署収受印付きの延長申請のコピーを添付して、提出することとなる(正確な提出期限については、この書面に記載してあるが、実務上は、税務署に提出した日と同日に提出している)。

これら地方税に係る延長申請に関する書類は、以前は2部提出を求められたが、最近は1部提出で足りるとされているようである。また、申請した日を含む事業年度を含む事業年度が終了して15日経過しても承認又は却下の処分がないときは、自働的に税務署長の承認があったものとされる(法75の2⑥)。

何ら手続することなく承認が得られることは有り得ないから、申請という法律行為により、申告の土台となる経済関係の確定たる決算が確定しないということを認めさせたことになる。一度承認を受ければ、それを取り消さない限りは、承認を受けた事業年度の次の事業年度以後も延長申請が認められ、法人が納税地の異動を行っても、異動後の所轄税務署に引き継がれるから、毎事業年度延長の申請をする必要はない。