全ての物には、販売用であるとか、交換価値があるとか、社内において事業において使用するものであるといった属性は備わっていない。収益獲得の原因となった資産を棚卸資産という。価格は労働時間等を基に算定される。したがって、経済的関係を離れた目的(意思)や物の属性により、棚卸資産か固定資産かを決定することはできない。法人税の課税標準は、経済的関係により創出した所得であるからである。取引先との経済関係や社内における生産関係において、必要なもの事業者か、必要でないから別の必要なものと交換するものなのか、剰余価値を生み出すというブルジョアの経済関係からの要請のものかによって決定される。外部から仕入れたものが、棚卸資産に計上されていることをもって、売上計上洩れだとか預け在庫計上洩れだとは断定できない。所有権を持った土地建物を所有せず、他の賃借人との社会的関係上、保管するだけのスペースを持たない事業者が、科学的問題提起を行い、1年以内に費消すると推論される消耗品を取引先事務所に頼んで置かせてもらっているのかもしれない。全ての考えられる事実関係を浮かび上がらせて、それが、固定資産なのか、消耗品なのか、棚卸資産なのかを決定する必要がある。