<p>故人の経歴、地位、法人の規模等からみて社葬を行うことが相当であると認められる事情があるときは社葬を行うのに通常必要とされる金額が損金となる旨を通達は言うが、ブルジョア企業が政治力等を媒介に社会に認めさせた金額と考えてはいないであろう。故人である役員、使用人の経歴、功績等の生産関係、取引先との経済的関係からみて社葬を行うことが相当であるとみられるときは、社葬費用の内、業務として予定される、すなわち、必要とされる金額は、法人の福利厚生費等として損金の額に算入されるものと考ているのである。

例えば、本葬、通夜等に訪れた生産関係、取引関係のある弔問者に対する生産関係上経済関係上必要とされる食事代等に当たる部分の金額がこれに該当すると考える。経済的関係、生産関係を離れた、例えばそれを行わなくとも業務を行い得る、政治上の要請、又は、業務に関係ないものである宗教上家事上の要請に基づく社葬費用、又は、社葬費用の内のそのような部分の金額は、遺族に対する贈与、遺族が役員、使用人の場合には賞与となるであろう。例えば、密葬の費用、墓石、仏壇、位牌、墓地の購入費、永代使用料、法要に要する費用、香典返礼費用等は、損金に算入しうる損金とは考えられない。香典返礼金が法人の生産関係、経済関係とは関わりがないものであるから、香典は法人の収益に計上することなく、遺族の収入とすることができる。税務上も、これを法人の収入としないで、遺族の収入とすることができるとする(法基通9-7-19(注))。</p>