<p>平成18年度税制改正において、同族会社の行為計算否認規定に関して対応的措置が設けられた(法132条3項)。
同族会社の行為計算の否認規定を根拠に更正処分がなされるということは実務上殆ど見かけない。行政側としても、問題となっている事案の経済関係に係る法人税法上の規定がなければ、更正処分を行うことができず、当該事案に係る根拠条文ない場合に、更正処分を行う手段としての確認規定として処分を執行することは困難なのである。
上記対応措置の規定により、例えば、役員に対する低利貸付けにつき、所得税法上、経済的利益を評価して、役員報酬に該当すると行政側が認定した場合、課税庁は、法人税法上、これを役員報酬として取り扱わないと、同一の事実について、法人税所得税間で矛盾が生じるからである。
給与所得として、源泉所得税を課して、法人の雑収入に計上するだけでなく、役員報酬もその分増加させなければならない。更正処分は、行政上の「確認」に当たり、調査において知りえた加算項目減算項目は、国税通則法23条の規定により、増額更正減額更正しなければならないから、調査官が雑収入の加算のみ行って増額更正をするというのであれば、納税者は、役員報酬もその分増加するとして課税庁は減額更正する必要があると主張する必要がある。</p>