<p>いわゆる形式上の貸倒れについては、債務者について以下の事実が発生したときに、当該債務者に対する売掛債権につき損金経理をしたときに貸倒れとして認めるとされる。

(1)債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止した時以後である場合には、これらの内、最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該債権について担保物がある場合を除く。)。

(2)法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債務の総額が取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し、支払いを督促したにもかかわらず、弁済がないとき。

(注)(1)の取引の停止をするに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま[筆者注ー通達は、「たまたま」という語を使用しているが、法人個人共に全ての取引につき、業務上必要もなくたまたま行うことなどありえないから、「一回限りの」という意味であろう。取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない(法基通9-6-3)。

この取扱いの(2)は、同一地域の一人の債務者に対する売掛債権の残高と取立費用を比較するときには、「同一地域の全部の債務者」に対する売掛債権の残高の総額と、その債務者に係る取立費用とを比較しなければならないとされている。</p>