課税側は、通達において下記のようにいう。
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応していないものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の額に算入されないのであるが、法人が前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金に算入しているときは、これを認める。
(注)例えば、借入金を預金、有価証券を運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。
(法基通2-2-14)。
この通達を読むとき注意しなければいけないのは、時の経過によって役務が提供するのではなく、小休止を挟みながら継続して労働をさせている過程を、一旦ストップして架空の商品と交換してそれに価値を付与したものが時間であり、事業年度であるということである。
労働により作られた商品の提供を受けるまでは、労働力商品を含む商品は、実体がありません。にも関わらず、上記のように取り扱っているのは何故でしょう。
課税側は、企業としては、前払費用等は、その支出をする時の費用の処理を行っていることが多いが、これらについて厳密な期間計算を行って税務上別個の計算を行う実益を捨ててもさして弊害はないものと思われると説明しています(税制調査会・税制簡素化についての第一次答申)。
実際のところは、1年分まとめて支払うことで、法人の労働者の代表は、資金繰りができなくなり、労働をさせられなくなる。金融資本は、貸付をフィクションできるから、上記の取扱いをしているのである。
前払費用に該当するものの例として学説は、下記のものを上げる。
土地、建物等の賃借料、工業所有権の使用料、保険料、借入金利子、手形割引料、信用保証料、ロイヤリティ(繰延資産に該当するものを除く)等である(山本守之・体系法人税法258頁)。
雑誌に広告を掲載する場合の人件費を前払した場合は、1回限りの掲載ですので、短期前払の規定は適用されません。
Web上での広告や、看板の広告を作成してもらった場合の材料と労働に関する人件費は、継続して稼動させる、又は掲示され、それが契約にされるので、短期前払の規定が適用されます。
雑誌の購読料は、商品の購入であるから短期前払の規定が適用されないと説明があるが、役務の提供だって労働力商品の購入である。商品の作成の過程にも労働は存在する。雑誌を作成する労働の評価が異なるからという建前で、雑誌の購読料や給料には、短期前払費用の規定が適用されないのである。労働者は、労働を強化されても、労働の評価は上がらないのである。
生命保険、損害保険料、保証料は、実体がありません。にもかかわらず、等質等量のサービスという属性が付与されています。
家賃も、お金や土地や建物は労働をしないので、利潤は産まないのですが、家賃や利息は、短期前払費用の特例が認められています。
しかしながら、借りた不動産を、他の経済実体に転貸した場合には、短期前払費用の規定は、適用されません。
この場合、貸主に利潤の分配が向こう1年分確定していて且つ支払っていても、預金、有価証券という架空商品を購入したり、不動産を転貸した場合には、疎外労働をさせて得た利潤の分配を受けることが決まり、それに評価がされた段階で、それを労働の完了とみて、転貸に関する収益が計上されることから、収益計上に対応する部分までの金額しか損金に計上することを認させることに成功していません。そのことを踏まえれば、架空商品を又貸しした場合の、金融資本からフィクションされた借入金利も短期前払の適用はないと見なければならないでしょう。
短期前払費用の計上を検討するに当たり、契約書面において、向こう1年分の保険料、家賃等を契約上支払うこととなっているか否かを再度確認する必要がある。すなわち、支払債務者の自由意思など介在しえず、支払いの相手方との法律的社会的経済的関係において、向こう1年分支払わざるをえないこととなっていなければならない。したがって、月払いや期間の経過に応じて支払うことが原則となっていて、向こう1年分の前払いもできるというような支払債務者の選択の余地を与えている文言が契約書上存在すれば、当該短期前払費用は税務上否認されうるのである。
利潤の土台となるのは労働です。
労働に付けた価値を取り消して国際金融資本は利潤を手にします。
時の経過によって利潤が産み出されるのではありません。
時間は労働の対価です。
労働の評価と引き換えに得た商品に付された価値が時間です。
商品の評価は、利潤を取引先に分配して最終決定します。
人件費は、発送をもって労働が完了したものとして売上が計上されるので、経済関係上は、売上に対応させなければなりません。
先に人件費だけ先行させることはできませんが、法律によって前払費用が計上できないということを社会に認めさせることをしていません。
税理士顧問料も、税理士の労働が等質等量でないことから短期前払費用の適用はないとされています。
労働に「質」は予め備わっていません。
労働は評価され、取り消されるのです。
しかしながら、この等質等量という文言は通達のどこにも出てきません。
そのように考えると雑誌の購読料も短期前払費用の適用の余地があるものと考えられます。
雑誌広告料の考え方に立って、現実には、労働したときに限って支払われるものを、分割して支払っているという見方に立って、短期前払費用の適用はないとしているように思われます。
同じ仕訳が反復して出てきて、労働量が同じであれば、記帳代行料は、短期前払費用の適用の余地があるように思われます。
(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-5 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)
(2) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日
(注)
1 当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する(2-37参照)。
2 業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。
課税側は、上記のように述べます。
しかし、不動産は労働しません。資産を貸付けて、労働をさせる毎に、労働を疎外して利潤を評価し分配するという立場に立てば、年度末と評価される段階で、実現していない分すなわち評価できないものは、収入に計上しなくて差し支えないことになります。