使用人給与は、日割りで確定することとなっている。したがって、事業年度末月の給与計算期間の末日が20日であれば、当該月の給与計算期間末日の翌日、すなわち、21日から事業年度末の日までの分の給与についても当該事業年度の損金として未払計上することができる。しかし、役員分給与及び使用人兼務役員の使用人分については未払計上して当期の損金の額に算入することはできない。専ら使用人としての業務に従事する者を使用人兼務役員というのであるが、商法上の地位はあくまで役員であって、役員と法人の生産関係は委任関係であるからである。役員については、その登記をしないかぎりは、商法上役員とは言えず、役員の地位並びに役員としての行為について第三者らに対抗できないのであって、登記するしないは本人の自由意思に基づくものではないからである。したがって、ブルジョア維持手段たる国家に対し、締後給与の日割計上を認めさせることに失敗したのである。また、通勤手当は概算前払であって、翌月末をもって確定するから、締後給与の計算基礎となる翌月の給与計算期間の給与金額から除かれる。特別手当も臨時手当であって、給与計算期間中のいつからいつまでの分に係るものなのか明らかでないから、締後給与の計算の基礎となる翌月分の給与金額から除かれるのである。単に翌月分の給与の1/3だけ計上すればよいというものではないのである。