事業年度末に未払計上を行う、いわゆる、期末賞与については、決算賞与を支給しなければならない者全員に対し、各人別に支給額を通知し、当該事業年度末の日の翌日から一ヶ月以内に通知者全員に支給すること、通知した日の属する事業年度において損金経理を行うことという要件を満たすことによって損金算入が認められる。したがって、通知した者の内、翌月になって、賞与支給日の前に退職した者がいて、その者に賞与を支給しなかったら、期末賞与として計上した金額全額が損金として否認されることになる。賞与もれっきとした労働債務である。法人は、税負担を抑えて内部留保を蓄積したのに加え、更に使用人に対する労働債務を絞って内部留保を蓄積することは許されないのである。規程に「支給日現在在職者に」とあると支給日まで金額が確定しないことになる。なお、決算賞与に係る源泉所得税を事業年度末の翌日が属する月の10日に納付することは要件とはされていないが、決算賞与が債務として確定していることを認めさえせることが困難となりうることもありうるから、期末賞与に係る源泉所得税も決算月の翌月10日に納付する必要があるものと解される。