「集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合又はガスタンク、鍛圧プレス等多額の据付費を要する機械装置を移設した場合(措置法65条の2《収用換地等の場合の取得の特別控除》に規定する収用換地等に伴い移設した場合を除く)には、運賃、据付費等その移設に要した費用(解体費を除く。以下7-3-12において「移設費」という。)の額はその機械装置の取得価額に算入し、当該機械装置の移設直前の帳簿価値のうちに含まれている据付費(以下7-3-12いおいて「旧据付費」という。)に相当する金額は、損金の額に算入する。」(法基通7-3-12)。

同じ事業所内の他の部屋や他の事業所(支店、工場等)や他の工程、他の生産ラインから機械やパソコンを移設することにより生産効率を高め、生産力や生産量を高めるような結果を惹起するような移設に係る費用は、資本的支出として移設する機械等の取得価額に付加することとなる。生活の土台となる労働過程の内の生産労働過程が短縮して疎外された労働が固定資本に転嫁される割合が高まり、生産労働過程以外の労働が延長して疎外された労働が資本に転嫁され、資本の増殖が拡大する。例えば、一台の機械が設置してある部屋に、同じ法人の他の事務所のにあった同じ機械を移設して接続することにより1時間当たりの生産量が増大しうるような場合である。生産時間短縮と生産力増加によって、企業の剰余価値は高まるから、これに課税するというものである。

別の場所から機械が運搬されてきたことにより、その機械より古くにそこに設置してある複数の機械の内のいくつかを配置換えした場合の配置換えをした機械に係る移設費は資本的支出とはならないとされる。このことは、上記通達の注書きにある。

また、引越しによるパソコン内のデータをそっくりそのまま別のパソコンに移し変えたり、単に什器備品を移設しただけでは、これらの費用は資本的支出とはならない。但し、移設する機械の解体費に係る人件費や原始取得の際の据付けに要した材料等は除却の対象となる。建物、機械等を解体して、同じ敷地内に新建物、新機械を設置する場合には、解体費は、新固定資産の事業供用費、据付費の一部を構成するから(解体することによって新設できたという論理)、新固定資産の取得価額に含めるべきとの主張がなされうるが、移設の場合の解体費は、同じ場所に新設するケースとは類似していないから、資本的支出から除かれている。

よりよい立地条件とは、一箇所に生産工程等を集中させることによる輸送コスト運搬コストの削減や、より消費人口の多い大都市近郊の事業所に生産機械を移設する等、経費の削減が達成できる関係にある場合、より強固な地盤の工場に機械を移設する場合の機械の移設費等(行政法規等、他からの要請によりやむを得ず移設する場合は修繕費。)がこれに該当するものと思われる。