例えば、毎月の請求書の計算期間の末日、いわゆる締日が20日の企業があったとする。卸売業や小売業は、21日から31日までに引渡し、一般的には出荷した棚卸資産は収益計上しなければならない。製造業、建設業、サービス業の場合も、21日から31日までに完成引渡し、役務提供が完了したものは収益計上をしなければならない。
自販機のロケーションマージンや地代家賃や貸金業の利息収入も契約書等を確認すると27日や28日が計算期間であったりする。これらも本当は収益計上しなければならないし、自販機売上や不動産業の共益費も継続適用を条件に検収日基準でもよいことになっているが、これも原則は、事業年度末の31日分まで収益計上が要求される。
債務確定基準と異なり、収益の場合は、請求金額が固まっていなくとも、事業年度末までに引渡し、完成引渡しや役務提供等がなされていれば、見積書の金額や社内の基本料金表、作業計画表等を基に収益の見積もり計上が要求される。請求書発行の日付で売上計上していると大きな間違いが生じうるのである。
書面を基に計上するのであれば、納品書に記載された仕入先出荷日か、収益計上基準を継続して納品基準であれば、納品書記載の納品日か請求書摘要欄明細欄等記載の納品日であって、これらについてもその日に出荷したか否かをきちんと確認する必要がある。確定した収益金額と見積計上した収益との差額は、まさに契約等の変更による前期損益の修正に該当するから、収益の確定した日の属する事業年度に計上することとなる。また、締日が事業年度末日から10日以内であれば、締後売上が省略できる旨の取扱いがあるが、これは、売上先が星の数程存在し、1件当たりの締後売上が微々たるもので期間損益を歪めない程度であれば毎期適用を条件に、省略しても見逃してやるという意味である。よって、ごく限られた顧客と取引を行い、しかもいずれも取引価額が大口の顧客であれば、締後売上計上の洩れは見逃されることはまずないといってよい。