法人税法74条は、内国法人は、各事業年度終了の日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき、申告書を提出しなければならない旨規定している。確定した決算書の当期利益に対し、税法の別段の定めに基づいて、税務調整事項について加算、減算等の修正を行なって、税務上の課税所得を算出する。

税務調整事項には、二つのものがあって、確定申告書の上だけで税法特有の規定に基づく申告調整事項と確定申告書の作成に先立つ法人の確定決算の段階において、税法特有の規定に基づく会計処理を行なうが要求されるもの(決算調整事項)がある。

今回は、申告調整事項の内、租税公課の調整について述べることとする。前述のとおり、法人は、決算確定に基づいて、事業年度終了の日から、2ヶ月以内(申告期限の延長の特例の届出がある場合には三ヶ月)に、税務上の所得を確定させてそれに税法の規定に基づいた税率を乗じて税額控除等を行い税額を確定させ、確定申告書を提出しなければならない。

中小企業等でも、比較的規模の大きい、会社組織としての体裁をなしている企業では、企業の確定した法人税・法人都道府県税・事業税を未払法人税等(納税充当金)として、決算書において計上されている。そして、申告納税から半年後には、予定納税として、当事業年度の法人税額の6/12、当事業年度の法人都道府県民税の納税額の6/12を納付することとなる。これは、通常、租税公課として処理される。

これを踏まえて、当期の損益計算書を見てみると、当期の決算書には、租税公課勘定に期中に前事業年度の法人税額をベースにした当期予定納税額と法人税等勘定に当期決算後、翌事業年度に入って二ヶ月目の末日に支払うこととなる法人税、法人都道府県民税、事業税の金額が計上されている。期中に発生した、又は期中に支払った租税公課の内、法人税、法人都道府県民税はいかなる時であっても税務上損金(税務上の費用)とはならないから、税務上所得の算定に当たっては、決算書上の当期利益に加算する。

何故なら、未払法人税等勘定や租税公課勘定の中において費用計上された後の企業利益をベースにして税額を算定してしまっては、確定決算時と申告所得の算出時と二度所得からの控除を受けてしまうこととなる。つまり、(未払法人税+予定法人税+予定法人都道府県民税)×実効税率分だけ過少に税額が算出されてしまう。