平成22年税制改正により創設されたグループ法人税制は、22年10月1日以降適用され、100%支配関係のグループ内の内国法人全てに適用される(例えば、グループ内の一法人を抽出して重要性の原則によるグループからの除外はできない。強制適用)。

グループの範囲には、外国法人、個人、個人及び特殊支配関係人に支配されている法人も含まれる(組織再編税制等と同様、6親等の親族等)(法法2)。

巷間言われるような親法人の資本金が5億円未満の企業グループは、グループ法人税制の対象外であるとする見解は誤りである。

そこで、グループ法人税制の内容につき、その要点を連結納税制度(選択適用、届出制)と比較しながら述べることとする。

①100%グループ内の法人間において、譲渡直前の帳簿価額が1000万円以上の固定資産、土地(棚卸資産としての土地、土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く)有価証券(売買目的有価証券を除く)、金銭債権、繰延資産の移転を行なった場合に生ずる譲渡損益は、譲渡法人において繰り延べられる(法81の10①。連結納税も同様)。

②100%グループ内の内国法人からの受取配当金について、益金不算入制度を適用する場合には、負債利子控除を適用しない(法法23の2、連結納税制度も同様、22年4月1日以後開始事業年度より。自己株式の譲渡益は計上しない、現物配当(みなし配当含む)の含み益(譲渡損益)は、繰延べられる(配当源泉不要I。みなし配当は、益金不算入の対象外)尚、平成23年改正により、適格現物分配において移転する自己株式は、欠損金制限の特例の適用上、移転資産としないこととされた。

③グループ内の法人間の寄附金は、受入側は、全額益金不算入、支出側は、全額損金不算入とされる(法法25の2,37②、81の6②。連結納税制度も同様の改正。但し、グループ内で、株式の売却損益の損益に係る圧縮又は増大等による純資産額の付替えを防止する手段として、一定のグループ法人間の寄附、すなわち、寄附修正事由については、利益積立金と有価証券の帳簿価額を修正する規定が定められた(令9条①7号、119の3⑥。例えば、親法人と子法人ABあって、子法人ABはそれぞれ親法人によって、株式を完全に支配されていて、子法人Aから子法人Bに寄附金100が支出された場合、子法人Aの処理は、(借)寄附金 100 (貸)現金100 別四加算社外流出、子法人Bの処理は、(借)現金 100 (貸)受贈益 100 別四減算留保となる。親法人の処理は、(借)利益積立金100 (貸)A社株式100 別五(一)減算、(借)B社株式100(貸)利益積立金100 別五(一)加算となる)。

④親法人から子法人への経済的利益の移転は、子法人が株主ではないから、寄附金となりうるのに対し、子法人から親法人に対して行なわれた経済的利益の移転は、配当として取り扱われうる(法基通1-5-4)。

⑤関係及び子会社支援等に係る損金算入(法基通9-4-1、9-4-2)も、通達改正は行なわれず、従前のままの取扱いである。支援を受けた側の処理は、雑益となり、益金不算入となる受贈益には該当しない。

⑥清算所得課税が財産課税方式から、通常の所得課税に移行したことに伴い、子会社の消滅損失は繰り延べられるが、子会社の残余財産確定時に青色欠損金等を親会社が引き継ぐことが可能となる(法法57②)。
尚、平成23年改正により、平成23年4月1日以降開始の事業年度より、資本金がマイナスとなる債務超過会社の債務免除益による課税についても、マイナスの資本金等の額は損金算入できることとなった。清算中及び解散が見込まれる場合並びにグループ内の他の法人との適格合併が見込まれる場合は、その保有株式の評価損は計上できない。

⑦資本金1億円超の法人及び資本金5億円以上の法人の完全子法人(資本金1億円以下)については、交際費等の損金不算入、中小企業の軽減税率、貸倒引当金の法定繰入率、欠損金の繰戻還付、留保金課税等は、不適用となる。

⑧グループ法人税制の場合は、連結納税制度は所得通算ができるのに対して、所得通算ができない。

⑨試験研究費、外国税額控除といった税額控除、グループ外に支出した寄附金は、連結納税制度の場合は、連結全体での計算となるが、グループ法人税制の場合には、各法人毎に計算し、その超過分につぃては、繰越し、若しくは切捨てということになる。

グループ法人税制と連結納税制度の共通するところは、親法人への株主配当の増加と賃金絞りの正当化の方便を与える原因となるもの(②)、資産の移動等による資本集中、労働の疎外、租税コスト削減等による内部留保の蓄積促進の手段となりうること(①③④⑥)、等を挙げることができる。

連結納税制度については、発展途上国と呼ばれる国々の現地労働者の賃金搾取という植民地政策促進に対する恩典と再度の労働者への貸付、労働の疎外(⑧)、交際費課税と引き換えに、税額控除という形の補助金交付による内部留保の蓄積、労働者への再貸付け、再度の労働疎外(⑦)、ブルジョア政党への政治献金の負担の見返りとしての税額控除(⑨)及び軍事関連品業務の受注と労働の疎外を指摘することができる。グループ法人税制は勿論、特に、連結納税制度は単体法人税制以上に、ブルジョア体制維持を補完することとなる制度といえよう。