資本金又は出資金の額が1億円以下の中小法人の交際費の損金算入限度額は、定額控除額600万円に達しない場合には、当期中に交際費として発生した金額の90% 、交際費として発生した金額が定額控除額600万円を超える場合には、540万円が損金として所得の金額から控除でき、540万円を超える部分の金額は全額損金不算入となる。

これに対し、資本金又は出資金の額が1億円以上の大企業は、全額損金不算入で、すなわち、損金算入できる金額は0%,,1円も損金に算入されない。交際費の損金不算入について本格的に議論がされたのは、昭和28年、租税特別措置として、制度として発足したのが昭和29年とされ、当時の議事録等を見ると、国家による企業の濫費抑制による資本蓄積、野党からの造船疑獄事件と花柳界との関係の追求、国家が企業の自治に介入するのは適当でないとの財界からの反対意見を見ることができる。これだけ見ると、大企業には不利で、中小企業に一定の配慮をした制度のように見える。

しかし、当時も企業合理化促進法及び租税特別措置法による特別償却制度、貸倒準備金限度額(使途が企業の自由である内部留保)引上げ、輸出契約取消準備金制度の新設等、現在も様々な租税特別措置法の税額控除が、交際費課税と併せて議論され、成立している。特に、税額控除は、特別償却は、当該償却対象となる事業用資産事業の用に供した各事業年度の損金計上額の合計額は、飽くまで、最大で、当該資産の取得価額であり、左記トータルの損金算入限度額の前倒し、すなわち、課税の繰延べにすぎない。

これに対し、税額控除というのは、上記損金算入限度額に加えてさらに、一定の割合で税の減免が受けられるというものである。

つまりは、企業は、交際費を使用人の給与の中から、支出させ、内部留保が経費として企業外流出することを抑え、内部留保を増殖しつつ、租税特別措置によって、租税コストの支出を抑えて内部留保の蓄積を達成することが可能となる。国家による介入にいう国家というのもブルジョアの代理人であり、ブルジョア自身である。

観念上の国家を企業の監督者と規定して、国家の介入に反対しているかのように見せて、節税しながら内部留保を増殖する方法を代理人に働きかけたのである。議事録など、茶番劇の台本であり、人民は、実に下らない寸劇を見せられてきたのである。また、大企業は、広告宣伝に莫大な資金を投入できるのに対して、中小企業は広告宣伝に金がかけられない。現実には、メディアへの支払いは、投融資であって、広告宣伝費の属性が付与されているものである。広告宣伝費も販売促進費も損金算入限度額は、100%である。その上、中小企業は、得意先大企業に接待することを要求される関係にある。明らかに、中小企業や労働者に不利なように税制は規定されている。ブルジョア社会維持の経費を中小企業や労働者は負担させられているのである。