租税回避行為について述べる前に、それと混同されがちな仮装行為について述べることとする。

仮装行為とは、事実とは異なる外観を作り出す行為を言う。仮装行為は、当事者の真意でない行為であるとか、真の意図した行為を隠している行為と説明されることがあるが、そもそも、目的や意図は方便であり、人は目的に従って行動するわけではないから、仮装行為の定義付けの際、真の意図云々を問う必要はない。真実の法律上の諸関係又は経済的諸関係その他諸関係と外観が異なった行為とするだけで十分であると思われる。

仮装行為は、事実行為であろうと法律行為であろうと、外観上行なったかにみえる行為は、実体がないか、真実の実体とは別のものであるから、私法上も違法なものであり、無効又は取り消しうるべき性質のものであるといわれることがある。仮装行為そのものには、違法、無効、取消しうるべき性質は備わっていない。外観によって課税を行うと、現実の経済関係を無かったことにしてフィクションされた経済関係によって利潤を得ている経済実体が課税を免れ、労働者に負担が転嫁されることがある。よって、利潤を得ている課税上の問題とは、別個独立した問題であり、税法の解釈適用について論じる以前の問題である。仮装行為によって、真の事実関係や真の行為が隠されている場合は、質問検査等を通じて確証を得た真実の事実関係、真実の行為に沿って課税が行なわれるわけであって、あえて、実質課税の原則を持ち出して仮装行為を否認するという議論自体、成立する余地がないのである。