芸能人及び芸能プロダクションと暴力団との関係が今も昔もマスコミで取り上げられるが、暴力団と関係があるのは何も、芸能プロダクションばかりではない。大部分の政党や大企業も暴力団と密接な関係がある。大企業の場合、毎事業年度相当な金額を暴力団や政党に対し、工作費や対策費として支出して利益を守ってもらっている。

その一方で、暴力団は廃業するのは、大企業に搾取されているからである。就職活動を控えたうぶな大学生は、尊敬する人物として、経団連に所属する社長の名前を挙げるが、彼らは、本当は、暴力団組長よりもはるかに怖い人たちなのである。

暴力団に対する支出は、通常、代表者貸付金という名目で、仮払金として処理され(配当金という形で流出することはあまりない)、政治献金は、諸会費又は寄付金勘定として処理される。これに対抗するために設けられたのが、使途秘匿金課税という制度で、使途を明らかにしない支出は、その支出額につき、損金経理しようが、仮払処理をしようが、当該支出金額の40%が課税され、住民税等を含めた実効税率は90%と、支出額のほとんど全てが税金として消えるのである。

税法は倫理規範や評価規範ではないし、国家が大企業をはじめとする特定階級の利益実現集団であるとの立場に立てば、国家に企業と暴力団の関係を解消させることを委ねて使途秘匿課税分を国家に帰属させることに果たして意味があるのかは疑問であるが、問題提起自体は一応なされている。いずれにせよ、批判のターゲットとして一芸能人に集中させると主たる問題点を見失う。問題の所在はどこにあるのかを把握することが重要となってくる。