申告納税制度さらには青色申告制度は、納税者の自主的な申告を促し、財政権力の介入を抑止したとメリットばかりを挙げる者がいる。

しかし、複雑な税法の規定を熟知していない納税者が、日々の仕事をこなしながら、自ら作成した申告書と、経理専門のスタッフを雇用し、さらに税法の専門家の指導や助言の下で作成された申告書では、申告所得並びに確定税額において、節税面、正確性の面等、あらゆる面で当然に差異が生ずる。

また、資産家及び資本家階級においては、予め立法の段階で、減免措置が用意されているのに対し、それ以外の者の申告は、例えば、公正妥当な会計慣行、法人税の例によるといった形で自主性に委ねられていることを見逃すべきではない。

したがって、申告納税は、それが青色申告であるから、白色申告であるからという理由で、租税行政への協力度によって、様々な恩典と称して、例えば、繰越欠損金の損金算入、推計課税の禁止等といった面で差異を設けることには馴染まないのである。